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§1
もうすでに、雨混じりの夜の帳は降りている。スキップフロアの食堂の大きなガラス窓越しに滲んだハザードランプが点滅、すぐにディゼルエンジンの音と振動が聞こえてきた。
「きた、きた、帰ってきた。」
山で迷った仲間も乗せたバスが帰ってきたのだ。
みんな、一斉に箸をグラスを置き、窓に駆け寄る。
「おかえり、お疲れ」
ちぎれんばかりに手を振る。
「みんな、玄関へ迎えに行こう。」
誰かが叫ぶ。
半階段を一斉に駆け下る。
「出迎えのラインを作ろう、両側で。」
玄関のドアが開いた。およそ10の笑顔が飛び込んできた。迷った仲間をバスで待ち続けた仲間。
「おかえり、お疲れ様」
拍手、ハイタッチ。
涙ぐむものも。
続いて、降りかけた山道を逆に登り、救出に向かった頼もしき幹事ランナーたち。
「お疲れ、ありがとう。ご苦労さま、さすが。」

最後に、道を間違い、本当に疲れた様子で歩いてきた7人。脚をひきずっている。泣いている。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「おかえり、よかった、よかった、本当に無事で良かった。」

迎える者、迎えられる者、この時みんなの心は一つになった。

§2
平成27年度ホノマラ合宿は、9月5日(土)6日(日)に石鎚山にて開催された。
メインディシュの頂上登山は本来2日目であったが、天候の悪化が予想され、初日の岩屋寺周辺のトレイルと急遽予定差し替え。サービスエリアの駐車場で男性は、登山の用意のため着替えることとなった。女性は、同様にバスの中で。
石鎚山の登山ルートは4つあるが、主には二つ、ロープーウェイを使って北側から目指すルートと、南の石鎚スカイラインを使って土小屋から登るルート。前者でおよそ三時間、後者で二時間半。
一般的には朝から登るものだが、この日は、昼前からの登山となる。

§3
彼女は水面下から景色を眺めているようだった。涙が溢れている。去年の大山合宿では、道半ばで引き返した。それがみんなと一緒に弥山にいる。雲が多いにしても時折姿を見せる天狗岳。切り立った岩にへばりつく仲間。
彼女たちのグループは、仲間の頑張りを応援し、自分たちもここまでこれたとの思いを胸に抱きながら、下山の準備。
下山に際しては、間、間に山の経験者を挟んで隊列を整える。
彼女たちのグループは、ニノ鎖場下まできた。ここには綺麗な有料トイレがある。土小屋まではトイレはない。ここで何人かトイレを済ますと、すでに前のグループの姿は見えなくなっていた。

§4
急がなければ。決して足に自信があるわけではない。焦りもあった。どんどん下って行った。なかなか前のグループに追いつかない。でも一人じゃない。
周りの森が光の加減か、登りより大きくなっているような気がする。そんなはずはないか。
あれ、こんなところに小屋があったで。違う。あっ、これは、ろ!ロ!ーぷウエいの道。
道を 間違ったことを幹事やリーダーに報告。

帰りは、暗くなるぞ。たまたま、小屋で懐中電燈を販売していた。売ってるということは、よく間違う人がいるということか?しかし、2コしかない。

トイレのすぐ下にあった重要なところは、北と南に別れる道の分岐点。分岐点があったことさえも気づかなかったらしい。トイレから標高差200mを違う方向に下がり、距離にして2.5kmまで降りてしまった。

§5
幹事Sさんは、20人以上のグループを率いて、人によって歩く速度は違うものの快調に山の南をスカイラインに向って下っていった。
突然、Sさんのバックから携帯音が鳴る。7人が道を間違えたことの連絡がはいる。
この時間からだとヘッドライトがいる。持ってる人に借りて、再度登り出す。
Sさんなど救出組を除いたものは、次々とバスに到着。先に着いたものから、荷物がどちらにあるか関係なしに一台目のバスに乗る。
一台目は、出発。2台目には、後から着いたものを乗せたまま、道に迷った7人と救出組を駐車場で待つ。
先に下った一台目に指令が入る。スカイラインは6時半で、ゲートが閉じられる。交渉して阻止せよ。出口で、係員にお願いするが、こちらも何時になるかハッキリした事を伝えることができず、おっちゃん係員がだんだんと怒りだした。いつまでまたされるんな!しかも、電波の状況が悪く、ドコモだけがかろうじて通じるもどかしい状況であった。バスの中では、状況がよくわからず、一人また一人と様子を何人も見に行ってた。
およそ20分後に話がついたようなので一台目は、宿に向かって、再出発。
宿につき、少し後ろめたいところもあったが、指示に従い、風呂に入って、先に食事となる。残された仲間には悪いが、まあ、とりあえず乾杯。

§6
救出チームと合流したものの、迷った7人はかなり疲労している。一人は抱き抱えられながら、山を登っていった。一人は膝を痛めていた。もうあたりはうす暗く、ヘッドライトや懐中電燈を利用するが、全員の足元を照らせる訳でなく歩き難い。なんとか、トイレ下の分岐点までたどり着く。そこで、7人が見たものは、階段の一つ一つに書かれている案内。
ロープーウェイ、ロープーウェイ、ロープーウェイ…。
そして、反対側には、
スカイライン、スカイライン、スカイライン…の表示が。
なんで、これらを7人全員が見落としたのだろうか。
焦っていたんだろうなあ。とにかく前の人に着いていった。まさか間違ってるなんて、これぽっちも考えなかったよなあ。
あたりは、もうすっかり暗くなり、一人は半分目を閉じて下って行った。がんばれ、かんばれ。がんばって降りるしかないよ。

待機していたバスの灯りが見えた。バスの中から歓喜の声が。そして、ねぎらいの声とともに抱き抱えられ、バスの中に。
出発。
バスで待ってた間、誰一人不満を言う人はいなかった。

§7
下るバスは、長い長い時間が経過したように思えた。

宿の明かりが見えた。エンジン音が聞こえたのだろうか。スキップフロアにあるレストランのガラスのカーテンウォールに、仲間が群がって手を振っているのが見えた。声は聞こえないけど、その口はオカエリ、オカエリと言っているのに違いない。
バスは宿に到着。ウィンカーの点滅がタダイマって言っているようだ。
玄関を開けると、左右に仲間の笑顔と涙の列がが。
拍手の嵐、
握手、
ハイタッチ、
抱き合う者。

タダイマ!帰ってきたよ。
ありがとう!
お帰り!
お疲れ様!

石鎚の夜空も涙をこらえていた。


追伸:忘れられない合宿の一コマに立ち会えたことを幸せに思います。どうしても、何か残しておきたいと思い少しずつ書きました。

長文、誤字脱字、変な日本語お許しください。おぼろげな記憶をもとにメモをおこしましたので間違っている箇所や不快に思われた箇所はご指摘ください。訂正します。

ドタラン堂テツ









2015.09.30 / Top↑
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